ヒアリングこそ、営業の要。テクニックよりも“正しい考え方”を身につけよう。 | 株式会社リーディングパートナー(LEADING PARTNER)

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vol. 03

ヒアリングこそ、営業の要。テクニックよりも“正しい考え方”を身につけよう。

気合いと根性論の営業なんて、昔の話。
そう言いつつも、どうしたら良いかわからないでいる方はいませんか?

私たちは営業を「確率論」だと考えています。確率論ということは論理的であり学術的、それゆえに再現性があり、誰がやっても同じ結果を導き出すことができるということです。

もちろん「これをしたら100%そうなる」というものではありませんが、営業には確かなロジックが存在します。そして、それを徹底することで成功の確率を高めることができるのです。

中でも、特に幅広く、奥が深いと言えるのが「ヒアリング」です。

本屋に行けば、営業指南書がずらりと並んでおり、ヒアリングのテクニックやコツについて書かれているものも数多くあります。それらを実践して効果が出たという人もいれば、うまくいかなかったという人もいることでしょう。

では、なぜそのまま試しても、うまくいかないのでしょうか?

それは、本に書かれていること自体は正しいのですが、あくまで「上辺のやり方」や「理論」に過ぎないからです。「何のためにそれをするのか」「何をどうするためにそれをするのか」といった本質まで書かれていないので、それを理解しないまま実践しても、手段と目的が転倒してしまうのです。

このコラムでは、上辺だけのやり方やテクニックだけを教えるようなことはしません。
「営業においてなぜヒアリングが重要なのか?」
「ヒアリングがうまくいかない理由は何か?」
リーディングパートナーが持つ『ヒアリングの考え方』を伝えていきたいと思います。

営業におけるヒアリングの重要性

アプローチ、アポイントメント、ヒアリング、提案、クロージング…
数ある営業プロセスの中でも「ヒアリング」は重要視されています。

なぜ、ヒアリングは重要視されているのでしょうか?
その理由を知るためには、まず営業される側、つまりお客様の立場に立って物事を考えることが大切になります。

あなたは「どんな営業パーソンなら提案されたい」と思いますか?

もしあなたのことに興味を示さず、何も聞こうともせず、自社の商品やサービスについて話してばかりの営業パーソンだったら、どう思うでしょうか?きっと嫌な気持ちになりますよね。

根本的に、人は「その他大勢の1人」「One of them」として扱われたくないという考えがあります。「最近の若い子は○○だよね」「女性ってみんな○○だよね」と言われるとカチンとくるのと一緒です。

お客様であっても、それは同じことが言えます。

  • 自分のことを良くわかってくれている
  • 背景や事情までを知ってくれている
  • 価値観や気持ち、感情までを理解してくれている

こういう営業パーソンであれば、信頼に足り、提案を受けたいと考えるのです。
つまり、相手を唯一無二の1人として、100人いれば100人を個別的に扱う行為が「営業」なのです。

「個別的に扱う行為」を「営業」と呼ぶ一方、「全てのお客様を同じように扱う行為」は「販売」と言います。もちろん「販売」が悪いということではありません。似ているようですが、そもそも違うということです。

「営業」には高いコミュニケーションスキルが求められますが、「販売」は全てのお客様を同じように扱うのでインフォメーションでOKです。そのため「販売」はインフォメーションテクノロジー、つまりITで技術解決ができ、取って代わることができます。ECサイトが分かりやすい例と言えるでしょう。

ITが当たり前になった現代において、営業の活躍すべき市場領域は狭まっています。「高額」で「無形」、その利益の享受が先々(未来)になる商品・サービスこそ、最も相性が良いと言えるでしょう。それゆえ「営業ができる」ことの価値は高まっており、同時に「ヒアリングができる」ことへの価値も高まっているのです。

ヒアリングがうまくいかない理由とは?

「4年以上のキャリアがある」「人と話すことも苦ではない」「商品・サービスにも詳しい」
そんな方であっても『ヒアリングがうまくいかない』と悩んでいるケースがあります。
キャリアの長さに関係なく、ヒアリングを苦手とする営業パーソンは少なくないのです。

なぜ、キャリアを積んでいても、ヒアリングがうまくいかないのでしょうか?
それは「ヒアリング」と「情報収集」の違いが分かっていないために起こるもの、と私たちは考えています。おそらく「ヒアリング」と称して「情報収集」を行っていることに、気づいていない(気づけていない)のでしょう。

では、二者の違いとは何でしょうか?

・自分のために、自分の聞きたいことを質問することを「情報収集」
・相手のために、相手の聞いて欲しいことを質問することを「ヒアリング」

このように、私たちは考えています。
「情報収集」とは、相手が問い合わせてきた理由や相談内容だけを確認し、その上で、条件や要望を把握する行為のことを指しているのです。

多くの企業が紙のツールや電子パッドなどを使って「アンケート」「お客様情報」「ヒアリングシート」などの名称で項目化されたものを使用していますが、私たちはこれらを「間違った標準化」「標準化の落とし穴」だと考えています。まるで、相手が買う客がどうかを品定めしている行為だということに気づけていない人が多いのです。

なかには「お客様に良い商品・サービスを提供するために聞いているのだから、お客様のための質問でしょう?」という人もいます。しかし、それは危険な考え方だと言えるでしょう。本当は「自分のため」なのに、「お客様のために」という自分都合が重なった二重主語の状態になっています。「自分がやっているのは相手のためだ」という後付けの理由を、正しいと思い込んでいるのです。

このような思い込みをすると、そこから抜けられず、売れない営業まっしぐらになってしまうことも少なくありません。「相手のためになっているかどうかは、相手自身が決めること」という大前提を忘れてしまい、相手の存在が置き去りになってしまうのです。

正しいヒアリングとは “相手を理解する” こと

では、「ヒアリング」はどのように行えば良いのでしょうか?
大事なのは、自身の都合はいったん置いておいて、“相手の立場”を理解することです。

具体的には、
・相手の「現状」
・そこに至った「事情」となる「背景」「経緯」「理由」「原因」など
・いま困っていること、悩んでいること
・相手の気持ちや感情
…を問い合わせ、傾聴します。

その上で、
・いま困っていること、悩んでいることを、そのままにしておく未来の状態
・いま困っていること、悩んでいることが、解決できている未来の状態
どちらが良いかを問い合わせ、傾聴するのです。

ここに、自身が売るための「要望」や「条件」の確認はありません。

要望どおりでなくとも、相手の困りごとや悩みごとが解決できれば良いのです。
条件など、相手の困りごとや悩みごとが解決できると分かってから、最後に聞けば良いのです。

ヒアリングをするうえで必ず守ってほしいこと

ヒアリングをする上で最も守らなければならないことは、ヒアリングより先に「詳しい商品・サービスの説明をしない」ということです。

「言いたい」「言わなければ」「話したい」「話さなければ」「伝えたい」「伝えなければ」という、「自分都合」の一切を抑え込むことが重要です。

多くの営業パーソンは、これをコントロールできない傾向にあります。
実際に、当社の研修やトレーニングを受ける人は、これを難しいと言っています。一方で、キャッチアップできた人は、皆さんこぞって「これができないと何も始まらない」と言うのです。

例えば、「質問の仕方」においては4種類の質問と2種類の方法の計8通りがあり、仮にヒアリングの時間が30分あるとすれば、前半・中盤・後半で使うものが変わってきます。さらに「相手の発言の受け止め方」も4つの難易度に分けられ、難易度の高いことができるようになれば、その効果も大きいです。

このようにテクニックは豊富にあり、どれも重要です。実際に当社が提供している基礎研修の40%以上を占めるほど、幅広く奥深いのが「ヒアリング」なのです。

きっと多くの営業パーソンが「知りたい」「聞きたい」のは、こういったテクニック的な内容だと思います。しかし、正しい考え方を持つことができなければ、言い方を変えてもその言葉に力はありません。

なぜなら「伝達」において、「言語」が占める割合は25%しかないからです。「非言語」、つまり言葉にのせる思いや感情が75%を占めています。言葉の意味より感情の方が、伝達スピードが速いのです。もちろん25%しかないからこそ言葉選びも非常に重要になりますが、まずは正しい考え方を持つことが大切です。

「営業はハート・マインドが整っていないと、スキルが活かされない」
私たちがいつも伝えている言葉の意味が、ここで分かってもらえるのではないかと思います。「これがコツだからやってみて」などと気軽に言うことは、無責任になってしまうため出来ないのです。

───いかがだったでしょうか。

もしあなたが営業に悩んでいるのなら、まずは一度、自分都合の行動をしていないか、お客様のために考えて行動できているかを振り返ってみてください。できていなかったとしても、それに気づけたことが大きな一歩です。正しい考え方ができるようになれば、行動も自然と変わっていきます。

このコラムが、あなたの営業をより良いものにする一助となれば幸いです。

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