提案でやるべきこと、やってはいけないこと。「自己満足の提案」に陥らないための心得。 | 株式会社リーディングパートナー(LEADING PARTNER)

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vol. 04

提案でやるべきこと、やってはいけないこと。「自己満足の提案」に陥らないための心得。

コンサルティングサービスやシステムなどの無形商材を扱う営業パーソンも、自動車・家・機械などの有形商材を扱う営業パーソンも、営業業務に従事する方であれば「提案が成果に結びつかない」という “提案の難しさ” を一度は感じたことがあるでしょう。

受注確率アップのために提案力を磨きたいという方は多くいます。しかし「提案力とは何だと思いますか?」という質問に、明確に答えられる方はほとんどいません。

「プレゼンテーションが上手なことです」
「いい企画が出せることではないでしょうか」
「顧客のニーズを捉えられていることですよね」
実に様々な答えがでますが、どれも正解と言うには不足しています。

このコンテンツでは「提案の正しい意味」や「良い提案とはどのような状態なのか」を併せて説明し、リーディングパートナーにおける提案の考え方をお伝えしていきます。

よく勘違いされている提案のケース

提案をするときに、あなたは下記に当てはまることをしていませんか?

  • 自社の商品を売り込む内容ばかり提案書に書いている
  • 新商品や新サービスの情報を「提案です」と言って持っていく
  • 顧客の状況・問題をヒアリングできないまま提案している

実はこれらの行為はすべて「提案を勘違いしている」ケースなのです。おそらく上記に当てはまる行動のほとんどが受注に結びついていないでしょう。

しかし、「何をどのように勘違いしているのか分からない」という方も多いと思います。そこでまずは「提案の正しい意味」を知ることから始めましょう。

提案とは「議論」すること

提案と企画はよく混同されて使われていますが、それぞれ言葉の意味が異なります。
ここでは「提案」「企画」「提案書」「企画書」についてそれぞれ説明していきましょう。

■ 提案とは“相手ありき”のもの
提案という言葉を辞書で引いてみると「議案を提出すること」という言葉が出てくることをご存知でしょうか。提案とはただ一方的に伝えたいことを伝えるのではなく「議論の場で議案を出すこと」を目的としているのです。よって提案書も「お客様と議論するための案をまとめた書類」であり、必ず“相手ありき”で書かれています。

■ 企画は“自分都合”のもの
企画という言葉を辞書で引いてみると「あることを行なうために計画を立てること」という言葉が出てきます。新規事業や新商品など「自分がやりたいことを実現するための計画をたてる」という意味で使われることが多いです。よって企画書は「自分のアイデアを商品としており、企画を作った人の都合がまとめられた書類」になっています。実現するためのスケジュールや目標など、どこまでも“自分都合”の話が出てくるのです。

このように「提案」と「企画」は別であり、「提案書」と「企画書」も別物なのです。

良い提案とは、お客様に「自分で悩みを解決できた」と思ってもらうこと

提案ができている状態とは、営業パーソンとお客様が共に考えながら「確かにそうだね」「ここは違うんじゃないかな」というように議論している状態です。

議論の結果、お客様自身に「自分で悩みを整理し、解決することができた。これで理想に持っていける」と思ってもらえたなら、その提案は成功したと言えるでしょう。

そうすることで、お客様は提案を持ってきた営業パーソンを信頼し、「この人となら解決できるだろう。お金を払うから一緒にやってほしい」という気持ちが芽生えるのです。

良い提案をするために、やるべきこと

お客様と議論をするためには、営業パーソンも当事者にならなくてはいけません。お客様の現状と理想からクリティカルな問題を導き出し、解決するための策を設定することが必要になります。

もちろん簡単なことではありません。お客様へのヒアリングひとつをとっても一筋縄ではいかないものです。お客様は自分や自社のことだからこそ、客観的な視点が持てません。悩みを整理できていない場合が多く、具体的な話よりも抽象的な話が多くなりがちです。営業パーソンはいかに論理的・具体的な話に落とし込んでいくかが問われます。

たとえば、お客様の会社が『日本一の会社になる』という理想を掲げていたとします。しかし、日本一というのは非常に抽象的な言葉ですよね。そこで営業パーソンは『日本一ってどういうことなのでしょうか?』『他社よりも〇〇という点で優れているということですね』というように、仮説を立てながら踏み込んで聞く力が求められるのです。

しっかりとお客様の現状・理想を聞き出す“ヒアリング力”
問題を整理し、理想に近づくための解決策を示す“ロジカルに言語化する力”

これらのチカラを組み合わせて、物事の本質にアプローチすることが大事なのです。

もちろん、相手により伝わるようにプレゼンテーション力を磨くことも大切です。しかし相手の感情を動かすパフォーマンスばかりに注力しても、提案の中身が伴わなければ意味がありません。まずは相手をよく知り、悩みを整理し、理想に近づけるために何をすべきかを考えることが重要でしょう。

良い提案のために、してはいけないこと

逆に、良い提案をするために、避けるべきこととはどんなことなのでしょうか。ここでは提案時にしてはいけないことをお伝えしていきます。

■ ヒアリングをしないで提案をするのはNG
時々、私たちの所にも「営業の研修をしてほしいので提案をしてほしい」と企業から要望が来ることがあります。「それではまず、ヒアリングの時間をください」と伝えると、「いや、ヒアリングはせずに御社のできることを提案してほしいのです」といきなり提案を求められるのです。
このような案件はリーディングパートナーでは受けないようにしています。

なぜならヒアリングをせずに提案するということは、お客様の真の問題解決にはならないため、良好なパートナーシップを築くことができないからです。営業パーソンにとって良いチャンスでも何でもない、と私たちは考えています。

■ 解決策から考えるのはNG
過去に自分がやったことがある解決方法や、誰かがやっていた解決策を出すようなことはしないでください。なぜなら「自分ができること=相手の課題を解決できること」ではないのです。

何よりもまず、きちんと顧客の現状・問題・理想をヒアリングすることから始めましょう。先に自分ができるかどうかを考えてしまったら、いい解決策は出ません。自分ができそうにないからと言って、お客様の理想を引き下げるような真似をしてはならないのです。理想と向き合い、どうしたら実現できるのかを考えることが大切になります。

そうして導き出した解決策においては、「自分にはできないかもしれない」などと思ってはいけません。自分で考えたからこそ、実現させるのです。自己保身に走らず、相手のために尽力する覚悟を持ちましょう。

───いかがだったでしょうか。

提案の正しい意味、良い提案のためにやるべきこと、してはいけないことなどをお伝えしました。

提案とは「議論」すること。そして良い提案とは「お客様自身で悩みを解決できたと思ってもらう」こと。こういった考えが根底にあると、これからの提案の仕方が変わってくるのではないでしょうか。

今回は提案への考え方をお伝えしました。次回は提案書とプレゼンテーションの考え方について紹介します。

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