“営業に苦手意識のある”運営スタッフが営業スキルを身につけるケース | 株式会社リーディングパートナー(LEADING PARTNER)

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“営業に苦手意識のある”運営スタッフが営業スキルを身につけるケース

サービス業においては、顧客獲得のための見学対応、日々のフロント対応など、 運営スタッフに営業力を「求めたくなる」シチュエーションは意外と多いものです。これは顧客接点の多さ、つまり「店舗に直接問い合わせをする」顧客心理の影響が大きいと言えるでしょう。

実際に、当社にも「運営スタッフに営業力をつけさせたい」というオファーが増えています。具体的な事例としては、ホテルのフロント、美容室のスタイリスト、ブライダルのプランナー、シニア住宅のサービススタッフなどです。最近で言うと、働き方などの多様化で注目されているシェアオフィスというのもあります。

なぜ、このようなオファーが増えているのか、その背景について考えてみましょう。

状況

参入障壁が低い業界では、営業力が重要になる。

ホテル、結婚式場、シニア住宅などのサービス業は、目新しさが人気を呼びやすく、スタートダッシュは好調であることが多いです。しかし、オープンすればどんなサービスが提供されているのかすぐに分かるため、真似されやすく、参入障壁が低い業界でもあります。競合が増えるにつれ価格競争が激しくなり、営業力を必要とするようになるのです。

ここで営業担当者を採用する企業も多いですが、一つ問題が起こります。営業と運営の目的が異なるため、ハレーションが起こりやすくなるのです。

営業にとってのゴールは、顧客獲得です。一方、運営スタッフは獲得してからがスタートになります。顧客獲得のために良いことばかりを言う営業も多く、実際の運営の現場では「最初に聞いていたことと話が違う」などとお客様からクレームが入ることも。営業と運営の連携がうまく取れなければ顧客獲得も難しくなり、結果、売上低下に繋がります。

その他、営業担当者を採用することができないという企業もあります。それには、以下のような理由が考えられます。

▼ 固定費を変動費化したい
例えば、シニア住宅やシェアオフィスの場合、満室であれば一時的に営業をする必要がなくなります。しかし、営業担当者を常駐で雇用していたらどうでしょう。その期間だけ働かなくていいから、その代わりに給料も支払わない、などという考えは通りません。そのため「固定費を変動費化したい」「必要な時にだけ営業ができれば良い」というニーズが出てくるのです。

▼ 繁閑期がある
ホテルや結婚式場には、シーズンによって繁忙期があります。閑散期に利用客を増やそうというのは至難のこと。ニーズがない時にいくら営業をかけても上手くいかないのです。

このような背景から、営業担当者を雇うよりも「今いる運営スタッフに営業ができるようになってもらいたい」というニーズが出てくるのです。

課題

運営スタッフは営業への苦手意識があり「営業をしたくない」と考えている。

運営スタッフに営業力をつけさせたいと会社は考えますが、それは容易ではありません。運営スタッフの多くは「人が好き」「コミュニケーションを取ることが好き」という考えを持っているため、運営の仕事にやりがいを感じている分、利益を追求する仕事に見える営業に対しては拒否反応を起こします。

その上、「ノルマや目標などに追われるのが嫌い」「忙しそうで嫌」「残業をしたくない」という考えがあるため、「営業をやってほしい」と言われるとハレーションが起きて辞めてしまう傾向にありました。

課題解決の方向性

「営業」という言葉を使わずに、結果的に営業力が身についている状態に持っていく。

「営業力」というと「売り込むスキル」だと勘違いされることがあるのですが、そうではありません。特にサービス業においては、スタッフが提供しているホスピタリティこそが「営業力」となります。お客様にお困りごとがないかを心配し、先回りしてお声がけをし行動する。そういった姿勢をより強化していくことが「営業力」に繋がるのです。

そこで実施したのが、ホスピタリティを高めるためのワークやトレーニングです。本当に良い接客とはどのようなものなのか、ホスピタリティを高めることで相手が受け取る価値がどう変わるのか、運営スタッフに伝えていきました。

以下は、実践したワークとトレーニングです。

まずは、現場でよく起きるシチュエーションに合わせたテキストを作成。これまでどのようにお客様と接していたのかを再確認し、より良い接客とはどのようなものかを考えてもらうためのワークを実施しました。お客様から要望や依頼があったら、ただ応えるだけでなく、「お客様にはどんなお困りごとがあるのだろう?」と、言葉の裏に隠された問題を想定するトレーニングを行なったのです。

ワークやトレーニングを繰り返すことで、運営スタッフは事前にお困りごとを想像できるようになりました。「どうされましたか?〇〇が〇〇だと、〇〇で大変ではないですか?」と自ら相手に踏み込んだ問いかけができるようになったのです。

例えばこれを、シェアオフィスのスタッフのケースで当てはめると…

【ワーク前】
お客様  「そちらの金額を教えてもらいたい」
スタッフ 「○○円です」
お客様  「わかりました」
スタッフ 「他にご質問はありませんか?」
お客様  「大丈夫です」
 → 依頼や要望に応えて終了。本当のお困りごとには気づいていません。

【ワーク後】
お客様  「そちらの金額を教えてもらいたい」
スタッフ 「○○円です。現在、他社様にもお問い合わせされているのですか?」
お客様  「そうですね」
スタッフ 「価格に含まれている内容が個々に異なるので、一概に比較がしづらくて大変ではないですか?」
お客様  「そうなんですよね。実は…」
 → 本当のお困りごとを話してもらうことができ、真の解決策を提供することができます。

このように「お客様に何か問題が起きているから、それがお問い合わせや要望という形で表れる」のだと分かれば、客観的に自分の仕事を顧みることができます。「これまでなぜお客様に質問しなかったのだろう?」「もっとお客様のことを知りたい」という気持ちになり、行動が変わっていくのです。このように考え方が変われば、言葉が変わり、行動が変わることを学んでもらいました。

また、実際に私たちが現場に立ち「やってみせる」ことで、行動を変えるとお客様からも頼られ、より深い関係性を築くことができるのだということを、お客様の反応や変化をもって伝えていきました。このように身をもって体感してもらうことで、成功体験を積みながら、結果的に営業力がついている状態をつくっていきました。

その一方で、管理職には、スタッフ一人ひとりのマインドやスキルレベルの把握、フォロー、振り返りといったことを伝えていきました。そして、スタッフの育成、予算と案件の管理を徹底してもらったのです。

結果

私たちがオファーを受けた当初、売上不振に悩んでいたのが嘘のように、予算を達成することができました。運営スタッフは自然と営業力を身につけることができ、「予算達成のためにあと何件の商談をする必要がある」といった数字の組み立てについても考えられるようになったのです。

さらに、運営スタッフの中には「もっと営業を極めたい」という人材も出てくるようになりました。運営の現場が分かる営業であれば、ハレーションが起きることはありません。運営と営業の真の連携が出来るようになったことで顧客獲得から運営までがスムーズになり、“売上をつくる強い組織”を実現することができたのです。

実際に行った解決策
  • 運営責任者との予算進捗ミーティング … 管理職と運営責任者の関係性づくり
  • 運営スタッフとの案件進捗ミーティング … 運営責任者とスタッフの関係性づくり
  • 基礎研修 … スタッフとの共通言語づくりと考え方の統一
  • トレーニング … スタンスとアウトプットの練習
  • TELフォローの取り組み、商談の同席、同行 … やってみせる

リーディングパートナーのコーポレートマークは、電車の「連結器」をイメージしたものです。私た ちは、営業で苦戦する企業を「坂を登っている列車」に見立て、営業における専門知識、ロジック、 ノウハウを使いながら、牽引し、加速させます。